Editorial

生殖細胞系のゲノム編集:議論すべき時

Nature Medicine 21, 4 doi: 10.1038/nm.3845

生殖目的でヒト胚中の生殖細胞を修飾することは、多くの国ですでに禁止されている。しかし、使い方が容易で、迅速に効果が得られ、特異性も比較的高いCRISPR-Cas9システムが出現し、これを使ってゲノム編集を行い、遺伝される疾病形質(場合によっては非疾病形質にまで)に変更を加えることができるようになった。この方法を使って初期のヒト受精卵を操作した「パーフェクト・ベビー」の誕生も間近だという噂さえある。このような研究の倫理的影響などに関して十分な議論を行い、世界的な規制を検討することの必要性は明らかである。ゲノム編集技術のこうした急速な進歩に伴って、遺伝学研究の専門家、患者支援者、法律制定者には、生殖細胞の遺伝子編集という問題について考えられるリスクと利点を十分に検討し、こうした技術を基礎研究および臨床で使用する際の安全かつ倫理性の高いガイドラインを試作するために議論を重ねてもらいたい。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度