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発達障害:自閉症スペクトラム障害患者を含む4人の家族の全ゲノム塩基配列解読

Nature Medicine 21, 2 doi: 10.1038/nm.3792

自閉症スペクトラム障害(ASD)は遺伝学的に不均一であり、数百個の感受性座位の存在を示す証拠が得られている。従来のマイクロアレイを使うエキソーム塩基配列解読研究では、孤発性と推定されるASD患者を含む単一患者家族(両親とASDの罹患児1人)のゲノムの一部が調べられている。今回我々は、ASDのきょうだい2人とその両親からなる4人組85例(ASDの小児170人が含まれる)の全ゲノム塩基配列解読(WGS)を行って、家族性のようにみえるASDでのあらゆる種類の遺伝的多様性(非コードバリアントを含む)とそれに伴う表現型を包括したデータ資源を作製した。これまでにASDあるいは他の神経発達障害との関連が報告されている遺伝子について、de novoおよびまれな遺伝性の一塩基バリアントや構造バリアントを調べることにより、罹患しているきょうだいの一部(69.4%)は異なるASD関連変異を持つことが分かった。変異が一致しないきょうだいは、共通のリスク変異を持つきょうだいより、臨床症状の多様性が大きい傾向があった。我々の研究は、ASDに相当大きな遺伝学的不均一性が存在することをはっきり示しており、基礎研究および臨床診断では遺伝子および非遺伝子に存在する感受性バリアントの全てを、WGSを用いて明らかにすることが必要と考えられる。

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