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神経疾患:発達期間中の脆弱期に行う治療が遺伝性てんかんを救済する

Nature Medicine 21, 12 doi: 10.1038/nm.3987

神経系は、発達の特定の時期の攪乱に対して脆弱である。そのような感受性の高い期間に侵襲を受けると、てんかんのような神経疾患の発症などの長期的に影響する結果が生じることがある。本論文では、大脳皮質発達が擾乱に対して脆弱な新生児期にタイミングを合わせた薬理学的介入が、遺伝性てんかんモデルで発病を防止することを報告する。我々はヒト新生児てんかん症候群で変異が生じているKv7電位依存性K+チャネルの機能不全を持つマウスに、ナトリウム–カリウム–塩素共輸送体NKCC1のアンタゴニストであるブメタニドを出生直後の2週間にわたって投与し、ブメタニドの安全性と有効性を実証した。Kv7電流が欠損しているマウスでは通常、てんかんや成獣となってからの多動および常同症が見られるが、ブメタニドの一過性投与は新生児のin vivoでの大脳皮質ネットワークと海馬ニューロン活動を正常化し、海馬構造の損傷を防止して、野生型成獣の行動表現型を回復させた。さらに、ブメタニドの投与は対照マウスに有害な影響を及ぼさなかった。これらの結果は、こうした疾患に感受性を持つ患者では、発達の特定の時期を選んで行う予防的で安全な治療的介入が、疾患の進行を予防あるいは停止させる可能性を示している。

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