Technical Report

画像化法:ニューロンが生理的状態および病的状態にある際のミトコンドリア酸化還元シグナルの多重パラメーターによるin vivo光学解析

Nature Medicine 20, 5 doi: 10.1038/nm.3520

ミトコンドリアの酸化還元シグナルは、ニューロンの生理的状態や病的状態に極めて重要な役割を果たしている。本論文では、ニューロン内のミトコンドリアに遺伝学的手法によってコードした酸化還元バイオセンサーを発現するマウス生体での速い酸化還元シグナルを単一細胞小器官の分解能で測定するための新しい光学的手法について述べる。さらに、複数のバイオセンサーを用いた並行測定によって、これらの酸化還元シグナルをミトコンドリア機能の包括的特性解析に組み込む方法を示す。この手法によって、軸索内のミトコンドリアが、酸化還元の可逆的変化を伴う自発的な「収縮」を行うことが明らかになった。こうした収縮は、ニューロンの活動や、急性もしくは慢性のニューロン傷害によって増幅される。多重パラメーター画像化法から、収縮は、マトリックスのアルカリ化と同時に起こる脱分極、およびそれに続く脱共役という呼吸鎖依存性エピソードを構成していることが明らかになった。それとは対照的に、脊髄損傷後の長期間持続するミトコンドリア傷害は、カルシウムフラックスとミトコンドリア透過性遷移に依存している。従って今回の手法によって、生理的状態と病的状態での酸化還元シグナルの差異を突き止めることが可能になり、そうしたシグナルを機能的・構造的な小器官動態と関連づけて、それらの基盤にある機構を詳しく調べることができるようになった。

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