Technical Report

マラリア:初代肝細胞長期培養でのマラリア原虫ヒプノゾイトの存続と活性化

Nature Medicine 20, 3 doi: 10.1038/nm.3461

三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)および卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)の肝内休眠体ヒプノゾイトが活性化した結果として起こるマラリア再発は、マラリアの流行防止と撲滅のための世界的努力を妨げている。ヒプノゾイトを排除可能な唯一の薬剤であるプリマキンは、大量投与に適さないため、これに代わる薬剤が緊急に必要とされている。現在、ヒプノゾイトに関する研究は、この休眠体を排除する可能性のある化合物のスクリーニングも含めて、一般的なマカクザルモデルでしか行えない。使われるのは主にアカゲザル(Macaca rhesus)とカニクイザル(Macaca fascicularis)で、再発性のサルマラリア原虫Plasmodium cynomolgiを実験的に感染させる。本論文では、サルマラリア原虫が感染したカニクイザル初代肝細胞のin vitro長期培養のためのプロトコルを示す。この培養では、ヒプノゾイトが生存し続け、活性化して正常な発生を再開する。概念実証実験の1つから、遺伝子発現のエピジェネティックな制御に関わるヒストン修飾酵素の阻害剤の1つへの曝露で、ヒプノゾイト活性化の加速が誘導されることの証拠が得られた。今回示したプロトコルは、ヒプノゾイトの生物学的特性の研究や、ヒプノゾイトを殺滅もしくはその休眠を中断させるような化合物の探索をさらに促進すると考えられる。

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