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ゴーシェ病:RIPK3はゴーシェ病の治療標的候補である

Nature Medicine 20, 2 doi: 10.1038/nm.3449

ゴーシェ病(GD)は、グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の変異が原因の遺伝性代謝疾患で、最もよく見られるリソソーム蓄積症(LSD)である。GBAに存在する複数のヘテロ接合性変異はパーキンソン病の主要なリスク因子である。GDは、神経学的徴候に基づいて、徴候のない1型と徴候の見られる2型および3型という3つの臨床サブタイプに分類される。1型GDは、酵素療法が利用可能になった最初のリソソーム蓄積症で、組換え型のグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)の注入はGDの全身的影響を軽減するが、神経学的症状には有効でなく、また患者には酵素療法のための多額の費用や不便さが伴うことから、代替療法あるいは補完療法の探索が非常に重要な問題となっている。脳でのグルコシルセラミドおよびグルコシルスフィンゴシンの蓄積は、神経障害性GD(nGD)患者およびnGDマウスモデルで大量のニューロン喪失を引き起こす。しかし、ニューロン死の仕組みは分かっていない。本論文では、Ripk3(receptor-interacting protein kinase-3)経路の調整が、GDのマウスモデルで神経学的疾患および全身性疾患を著しく改善することを示す。特に、Ripk3欠損は、GDマウスの臨床経過を相当度改善し、生存期間を延長し、運動協調性を上昇させ、脳損傷に加えて肝損傷にも有益な影響を及ぼした。

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