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感染症:プラスモジウムに対する宿主細胞センサーは肝細胞期感染に対して自然免疫を活性化する

Nature Medicine 20, 1 doi: 10.1038/nm.3424

プラスモジウム属の寄生生物であるマラリア原虫は、赤血球に感染してマラリアを引き起こす前に、肝臓で絶対寄生者として臨床的に無症候な増殖を行う期間を経るが、この期間は宿主によって検知されないと考えられている。本論文では、肝臓でのマラリア原虫の増殖に対してⅠ型インターフェロン(IFN)応答が起こっていることを示す。我々は、プラスモジウム属のRNAがこれまで未知の病原体関連分子パターン(PAMP)であって、細胞質のパターン認識受容体であるMda5を介してⅠ型IFN応答を活性化しうることを突き止めた。この応答は、細胞質RNAセンサーのアダプター分子であるMavsや転写因子であるIrf3およびIrf7を介して肝常在細胞によって開始され、肝細胞によりインターフェロンα/β受容体に依存する形で伝播される。このシグナル伝達経路は、肝細胞期のプラスモジウム感染に対する免疫細胞を介した宿主抵抗性に極めて重要であり、こうしたシグナル伝達はC型肝炎ウイルスRNAなどの他のPAMPによっても誘導可能であることが分かった。まとめると我々の結果は、肝臓にはプラスモジウム感染を検知する機構があり、これがⅠ型IFNによって駆動される機能的な抗寄生虫応答を仲介することを明らかにしている。

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