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肝臓脂肪症:Notchの阻害は、mTorc1の安定性低下によりAkt活性化と肝臓での脂質蓄積とを切り離す

Nature Medicine 19, 8 doi: 10.1038/nm.3259

肝臓の脂質含量増加は、初期のインスリン抵抗性と関連付けられており、mTor(mammalian target of rapamycin)の栄養誘導性活性化によって引き起こされることがある。mTorのこうした活性化は、基底状態のAkt活性を上昇させ、無制限に継続する脂質合成回路を生じさせる。我々は以前、成体マウス肝臓では、発生過程で働くNotch経路が、代謝においても機能していることを示した。Notchの急性あるいは慢性的阻害は、肝臓のグルコース産生を低下させ、Akt活性を上昇させるので、肝臓脂質含量の増加につながる可能性が考えられる。本論文では、Notchシグナル伝達の肝臓特異的な構成的除去、あるいはNotch1デコイ受容体による急性阻害が、mTor複合体1(mTorc1)活性の遮断により肝臓脂肪症を防止することを示す。これとは逆に、Notchの遺伝子導入による機能獲得は、mTorc1の構成性活性化を介して脂肪肝を引き起こし、この影響はラパマイシン投与によって取り消される。また、Notchシグナル伝達はmTorc1複合体の安定性を上昇させて、mTorc1機能を増強し、Srebp1c(sterol regulatory element binding transcription factor 1c)が仲介する脂質合成を増大することが実証された。これらのデータは、Notchが、肝臓でのAkt活性化を肝臓脂肪症と切り離すことを可能にする代謝シグナル伝達分岐点であり、治療に使えることを明らかにしている。

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