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妊娠:肝臓受容体ホモログ1は妊娠に不可欠である

Nature Medicine 19, 8 doi: 10.1038/nm.3192

妊娠の成立には、多数の組織に由来する一連のシグナルや因子の協調した働きが必要である。肝臓受容体ホモログ1(Lrh-1)は、こうした因子の1つで、代謝やホルモン合成を調節するオーファン核内受容体である。このタンパク質は、齧歯類およびヒトの卵胞顆粒膜細胞や黄体で多く発現している。Lrh-1をコードしている遺伝子であるNr5a2(別名Lrh-1)をマウスの生殖細胞系列で欠失させると、原腸陥入期で胚性致死となる。卵胞でのLrh-1枯渇実験によって、Lrh-1がステロイド合成および排卵の両方に必要な遺伝子群の発現を調節していることが明らかにされている。マウスの妊娠に対するLrh-1の影響を調べるために、黄体でのLrh-1発現を遺伝的に障害したところ、黄体機能不全が起こった。ホルモン補充によって胚の着床は可能となったが、子宮内膜の不完全な脱落膜化、胎盤形成障害、胎仔発育遅滞と胎仔の死亡が起こって、その後の妊娠は継続されなかった。 Lrh-1はマウスとヒトの子宮内膜でも発現しており、ヒト初代培養子宮内膜間質細胞でNR5A2転写産物の量をRNA干渉によって減少させると脱落膜化が起こらなくなった。これらの知見は、Lrh-1が黄体の維持、脱落膜化の促進、および胎盤形成に必要とされることを明らかにしている。したがってLrh-1は妊娠の成立と維持に、複数かつ必須の役割を果たしている。

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