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脂質代謝:マイクロRNA-30cは脂質合成とリポタンパク質分泌の低下によりマウスの高脂血症とアテローム性動脈硬化を軽減する

Nature Medicine 19, 7 doi: 10.1038/nm.3200

高脂血症はさまざまな心血管疾患や代謝異常のリスク因子である。リポタンパク質の過剰産生は、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)に依存する過程で、高脂血症につながることがある。本論文では、マイクロRNA-30c(miR-30c)がMTP mRNAの3′非翻訳領域と相互作用して、その分解を誘導し、MTPの活性低下およびアポリポタンパク質B(APOB)の分泌低下を引き起こすことを示す。miR-30cはまた、MTPとは無関係に脂質合成も低下させる。miR-30cを肝臓で過剰発現させると、高脂肪食(ウェスタン・ダイエット)を与えたマウスでは、脂質合成低下とトリグリセリド含量が高いApoB含有リポタンパク質の分泌低下により高脂血症が軽減し、Apoe−/−マウスではアテローム性動脈硬化が減少した。さらに、抗miR-30cにより肝臓のmiR-30cを阻害すると、高脂血症およびアテローム性動脈硬化が増悪した。したがって、miR-30cは脂質生合成およびリポタンパク質分泌を協調的に低下させ、それによって肝臓と血漿中の脂質濃度を調節している。miR-30cレベルの上昇は、高脂血症やそれに関連する疾患の治療に有効かもしれない。

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