Between Bedside and Bench

脳の奥底を治療する:神経性無食欲症の脳外科的治療は可能か

Nature Medicine 19, 6 doi: 10.1038/nm.3223

脳外科の手法を用いれば、脳内の特定の領域を電気インパルスで刺激して、その領域の活動を可逆的に変化させ、精神疾患に関係する症状を軽減させることができる。このような「脳深部刺激法」などの手法が進歩したことで、ニューロンの特定集団をさらに選択性を高めて活性化できるようになり、特定の精神障害にどの神経回路が関与しているのか、また、それらの脳領域やニューロンの活性化が治療として有効となる可能性があるかどうかについて、手掛かりが得られるようになった。BEDSIDE TO BENCHではE Nestlerが、神経性無食欲症患者を対象とした2つの臨床実験で、種々の脳領域の深部刺激の結果、この症候群と関連する行動領域が改善されたことについて論じている。神経性無食欲症はまだ不明な点が多く、治療は難問となっているが、これらの試験の結果や、動物やヒトでのこの手法の有効性によって、この疾患の神経生物学的特性の解明が進むことになるかもしれない。BENCH TO BEDSIDEではJ Warner-Schmidtが、うつ病に関係する脳領域の機能的結合性を明らかにし、また皮質領域の活性化が、うつ病につながる他の脳回路の機能不全を補足して、抗うつ作用をもたらす仕組みを明らかにした最近の知見について、詳しい考察を行っている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度