Technical Report

免疫:CNS自己免疫疾患の際のT細胞活性化動態を、蛍光NFATセンサーとH2Bセンサーの組み合わせによりリアルタイムで明らかにする

Nature Medicine 19, 6 doi: 10.1038/nm.3182

多発性硬化症は中枢神経系(CNS)の自己免疫疾患の1つであり、自己応答性T細胞が脳内に入り、特異的な神経自己抗原と出会った後に局所で活性化されることによって発症する。疾患に関連する抗原とT細胞との遭遇がいつどこで起こるのかは、はっきりわかっていない。今回我々は、蛍光標識したNFAT(nuclear factor of activated T cell)とヒストンタンパク質H2Bを組み合わせて、T細胞活性化を生体内画像化するのに広く使える分子センサーを作製した。これを使って、多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎で、CNS内へ浸潤しているエフェクターT細胞が、軟膜食細胞と短時間接触した後に活性化状態になることが見いだされた。症状が確立されている場合には、T細胞活性化過程はCNS実質の深さまで広がり、活性化T細胞はそこでミクログリアや動員された食細胞と接触する。多発性硬化症の発生・再発時の症状の強さおよび継続期間に対して重要なのは、疾患が確立された時期ではなく、前臨床的な時期に起こるT細胞活性化過程であることが明らかになった。

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