Technical Report

画像化法:蛍光性細胞系譜タグを持つ新規マウスモデルでの、シリアル多光子画像法による糸球体上皮細胞のin vivo運命追跡

Nature Medicine 19, 12 doi: 10.1038/nm.3405

足細胞は健全な糸球体濾過機能の維持に不可欠である。しかし、足細胞の無傷腎臓内での研究は技術的制限のために困難だった。今回我々は、シリアル多光子顕微鏡(multiphoton microscopy:MPM)を開発し、同一の糸球体をin vivoで数日にわたって観察することで、足細胞と壁側上皮細胞(PEC)の運動を可視化したことを報告する。podocin-GFPマウスでは、片側の尿管を結紮した後に足細胞があちこちに多細胞クラスターを形成してから移動して、ボーマン嚢壁側層に入り込んだ。細胞特異的にCFP、GFP、YFPもしくはRFPを発現させたpodocin-confettiマウスでは、単一細胞の追跡により、多数の足細胞が同時に移動していることが明らかになった。ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)−GFPマウスでは、シリアルMPM観察により、PECから足細胞への移動と極めて細い管による連結が示された。今回のデータは、糸球体の環境や細胞構成は静的なものではなく、高度に動的であることを裏付けている。この新手法を適用していくことで、糸球体の損傷や再生の仕組みの解明がこれからさらに進むと考えられる。

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