Between Bedside and Bench

手強い代謝性疾患:食餌療法と運動は心臓に有益か?

Nature Medicine 19, 10 doi: 10.1038/nm.3370

メタボリックシンドロームは多系統性疾患であることから、この分野の研究は現在、内在性要因と環境要因の両方を、生物学的および治療的観点から詳しく検討する方向に向かっている。医師は、肥満した2型糖尿病患者に対して、運動や健康的な食事で体重を減らすように勧めることが多い。それは分かりやすいアドバイスと思われるかもしれないが、最近の大規模な研究で、肥満した2型糖尿病患者の場合は、このように生活を変えることで減量しても、従来的な糖尿病治療を行った場合に比べて、心血管疾患事象の発生数が有意に減少するわけではないことが明らかになった。BEDSIDE TO BENCHではJ A LovshinとD J Druckerが、この研究結果の解釈を限定する要因や、こうした状況で減量することの真の利点について導き出せる結論、さらに、この臨床試験結果から考えると基礎研究でもっと注意を払うべき分子的要因について論じている。BENCH TO BEDSIDEではE Maratos-Flierが、抗糖尿病薬が宿主と腸内微生物相の両方の代謝に果たす役割を検討している。腸内微生物相へのこうした影響は、腸内マイクロバイオームが肥満に影響を及ぼす仕組みが分かってくれば、マイクロバイオームの持つ治療的能力を利用する手段が見つかるだろうという考え方を裏付けている。

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