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感染症:感染によって誘導されるNETosisは複数の役割を同時に果たす好中球が関与するin vivoでの動的過程である

Nature Medicine 18, 9 doi: 10.1038/nm.2847

好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular trap:NET)は、in vitroでは好中球が死ぬ際に数時間を必要とする過程を介して放出されるため、微生物が侵入できる時間的ギャップが生じる。遊走やファゴサイトーシスが可能な好中球でNETosis状態にあるものは、まだ報告されていない。我々は、グラム陽性菌による皮膚感染の際に、生きている多形核細胞(PMN)がin vivoで迅速にNETを放出する様子を直接可視化した。この放出によって、細菌の全身への播種が防止された。NETosisは、好中球が這い回っている間に起こったので、NETの大部分が投げ広げられた。NET放出中の好中球は、分散して脱凝縮した核を持ち、最終的にはDNAを持たなくなった。異常な核を持つ好中球は、不規則な形の偽足と過剰な極性化を特徴とする独特の這い回り動態を示し、こうした動態は核が這い回りの支点となることと一致していた。Toll様受容体2と補体介在性オプソニン化が共に必要とされることで、NET放出は厳密に調節されていた。さらに、ヒトの生きているPMNをマウス皮膚に注入するとin vivoで脱凝縮した核が生じてNETが形成され、グラム陽性ヒト膿瘍には無傷の無核好中球が多数存在していた。したがって、感染初期のNETosisには、細胞溶解を起こしておらず、複数の役割を同時に果たす好中球が関与している。

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