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特集:敗血症

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm0712-997

敗血症治療薬の開発は今、「蘇生を必死に願っている」といった状況にある。昨年秋、イーライ・リリー社は認可されていた唯一の薬剤Xigris を世界市場から撤退させたが、この5 月になってその本当の理由が明らかになった。活性化プロテインC の組換えタンパク質であるXigris は、敗血症ショックのリスクが高い1,700 人について行われた世界規模の市販後臨床試験で、死亡抑制効果がプラセボとほとんど変わらないことが明らかになったのである(N. Engl. J. Med. 366, 2055-2064, 2012)。救急医学専門医にとっては、敗血症、とりわけ、患者の数が世界で年間1,800 万人にも及ぶ重症の敗血症の場合に使える治療薬が現在のところ皆無という、気がもめる状況なのだ。だが、敗血症による死亡者の数は、入院治療の向上や死亡率の高いこの病気に対する認識が高まったことにより、最近低下してきている。とはいっても、重症の敗血症では、患者の4人に1 人程度が死亡するという状況がまだ続いている。そして、症状が大きくばらつき、非特異性の高いこの病気の治療に、実験的な治療法が役立つかどうかを探るのは非常に難しい。この特集は、敗血症の研究者が、こうした難問の解決に奮闘している現状を広く知ってもらおうというものだ。

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