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免疫:IL-23は腱付着部に定着するROR-γt+CD3+CD4CD8 T細胞に作用することで脊椎関節症を誘導する

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2817

脊椎関節症は、解剖学的に遠位にあたる部位、特に骨と腱の接合部(腱付着部)や大動脈基部の炎症を伴うリウマチ性疾患の一群である。インターロイキン23(IL-23)の血清中濃度の上昇とIL-23受容体に見られる多型は強直性脊椎炎と関連づけられているが、IL-23が腱付着部に局所的に作用するのか、それとも循環中の細胞集団に遠位性に作用するのかは明らかではない。今回我々は、IL-23が腱付着部炎にきわめて重要であり、これまで見つかっていなかったIL-23R(IL-23 receptor)+、ROR-γt(RAR-related orphan receptor γt)+CD3+CD4CD8、Sca1(stem cell antigen 1)+の腱付着部定着型T細胞に作用することを示す。このような細胞はin vitroで、これ以外の細胞の動員がなくても、腱付着部をIL-23に反応させ、IL-6、IL-17、IL-22およびCXCL1〔chemokine (C-X-C motif) ligand 1〕などの炎症性メディエーターを産生させる。in vivoでは、IL-23発現だけでヒトでのこの疾患が表現型模写され、腱付着部炎に特異的で特徴的な進行と、当初滑膜炎がまったくない場合に腱付着部骨新形成が見られる。また、ヒトの腱付着部炎と同じく、in vivoで大動脈基部と弁(構造的に腱付着部と似ている)に炎症が発生する。このような腱付着部定着型細胞の存在とこの細胞によるIL-22(STAT3依存性で骨芽細胞がかかわる骨リモデリングを活性化する)の産生は、IL-23の調節不全がまさにこの解剖学的部位に炎症を生じさせる仕組みを説明している。

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