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がん:USP15はI型TGF-β受容体を安定化し、膠芽腫でTGF-βシグナル伝達の活性化を介して腫瘍形成を促進する

Nature Medicine 18, 3 doi: 10.1038/nm.2619

膠芽腫などの進行がんでは、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)経路が発がん因子として機能するので、治療標的とみなされている。我々は、機能的RNAiスクリーニングを用いて、脱ユビキチン化酵素であるユビキチン特異的ペプチダーゼ15(USP15)が、TGF-βシグナル伝達経路の重要な構成要素であることを明らかにした。USP15はSMAD7−SMAD特異的E3ユビキチンタンパク質リガーゼ2(SMURF2)複合体に結合し、I型 TGF-β受容体(TβR-I)を脱ユビキチン化して安定化し、これがTGF-βシグナルの増強につながる。USP15の発現上昇は高いTGF-β活性と相関しており、またUSP15遺伝子は膠芽腫、乳がんおよび卵巣がんで増幅されていることがわかった。USP15の増幅は膠芽腫患者の予後不良の原因となる。患者由来の膠芽腫の同所マウスモデルでは、USP15の発現低下、あるいはUSP15の阻害がTGF-β活性を低下させる。また、USP15を大幅に減少させると、TGF-βシグナル伝達の抑制により、患者由来の神経膠腫開始細胞の発がん能が低下する。我々の結果は、USP15がTGF-β経路を調節しており、膠芽腫の発症機序における重要な因子であることを実証している。

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