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がん:Smurf2の腫瘍抑制機能は、クロマチンの全体像およびゲノム安定性のRNF20を
介する制御に関連している

Nature Medicine 18, 2 doi: 10.1038/nm.2596

がんでは、対立遺伝子の変異に加えてクロマチンの全体的な状態に変化が生じていることが明らかにされている。今回我々は、HECT型E3ユビキチンリガーゼであるSmurf2(Smad ubiquitin regulatory factor 2)の遺伝子を破壊すると、DNA損傷応答およびゲノム安定性の両方に調節異常が生じ、その結果、老齢マウスの多様ながんに対する感受性が上昇することを示す。マウスおよびヒト細胞の両方で、Smurf2はRNF20(ring finger protein 20)を標的としたプロテアソーム依存性分解を介して、ヒストンH2Bのモノユビキチン化に加えて、ヒストンH3のLys4、Lys79のトリメチル化も調節することを示す。さらに、核における二本鎖DNA切断部位のγ-H2AXフォーカスに、Smurf2およびRNF20が局在することが明らかになった。したがって、Smurf2には腫瘍化抑制機能があり、ヒストン修飾のエピジェネティックな全体像をRNF20を介して制御することにより、正常なゲノム安定性を維持している。

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