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ハンセン病:ハンセン病ではマイクロRNA21がビタミンD依存性抗菌経路を標的とする

Nature Medicine 18, 2 doi: 10.1038/nm.2584

ハンセン病は、宿主免疫応答と相関するさまざまな臨床所見を呈するために、ヒトの免疫調節機構を検討するモデルの1つとなる。我々は、進行性のらい腫型(L-lep)と自己限定性の類結核型(T-lep)のハンセン病患者の病変部で発現に差異のある13のmiRNAを同定した。バイオインフォマティクス解析から、T-lep病変部よりもL-lep病変部で発現が低下している主要な免疫遺伝子を選択的に標的としているL-lep特異的miRNAの割合が有意に高くなっていることが明らかになった。L-lep病変部で最も発現に差が見られたmiRNAであるhsa-mir-21は、らい菌(Mycobacterium leprae)に感染した単球で発現が上昇していた。hsa-mir-21は、Toll様受容体2/1ヘテロ二量体(TLR2/1)誘導性のCYP27B1およびIL1Bの発現の直接低下や、インターロイキン10発現の間接的上昇によって、ビタミンD依存性の2種の抗菌ペプチドをコードする遺伝子CAMPおよびDEFB4Aの発現を阻害した。逆に、らい菌感染単球でhsa-mir-21をノックダウンすると、CAMPおよびDEFB4Aの発現が上昇し、らい菌に対するTLR2/1を介した抗菌活性が回復した。したがって、らい菌によるhsa-mir-21の発現上昇は、特定の免疫学的病型に関連する複数の遺伝子を標的としており、これがビタミンD依存性の抗菌経路を回避する実効的な機構を作り出している。

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