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造血:HCLS1、HAX1およびLEF-1がかかわるタンパク質間相互作用はG-CSFが引き起こす顆粒球形成に不可欠である

Nature Medicine 18, 10 doi: 10.1038/nm.2958

我々は、HCLS1(hematopoietic cell-specific Lyn substrate 1、別名HS1)が、ヒトの骨髄系細胞で高発現しており、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による刺激でHCLS1のリン酸化が引き起こされることを見いだした。HCLS1は、転写因子であるLEF-1(lymphoid-enhancer binding factor 1)に結合し、G-CSFによる刺激を受けるとLEF-1を核内に輸送して、LEF-1の自己調節を誘導する。HAX1(HCLS1-associated protein X-1)をコードする遺伝子に生じた変異が遺伝している重度の先天性好中球減少症の患者では、G-CSFが引き起こすHCLS1リン酸化の著しい異常がみられ、それによってLEF-1の自己調節や発現の低下が起こっている。HCLS1を欠損するマウスでの好中球減少は、これらの結果と一致している。我々が調べた急性骨髄性白血病患者の骨髄生検のほとんどで、HCLS1タンパク質の発現が大幅に上昇しており、これに関連して高レベルのG-CSF合成がみられ、また患者の一部ではHCLS1タンパク質のプロリンが豊富な領域への4残基の挿入(細胞内シグナル伝達の促進作用が知られている)がみられた。これらのデータはin vitroおよびin vivoでの骨髄造血におけるHCLS1の重要性を実証している。

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