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がん:LIFRはHippo-YAP経路上流で働く乳がん転移抑制因子で予後マーカーである

Nature Medicine 18, 10 doi: 10.1038/nm.2940

転移性疾患の予後マーカーおよび治療標的の同定は緊急に必要とされている。我々は今回、ハイスループットRNA塩基配列解読、機能特徴づけ、作用機序研究、臨床での確認を組み合わせることにより、白血病阻害因子受容体(leukemia inhibitory factor receptor:LIFR)はマイクロRNAのmiR-9の下流、そしてHippoシグナル伝達経路の上流に位置する乳がん転移抑制遺伝子であることを明らかにした。非常に悪性度の高い腫瘍細胞でLIFRの発現を回復させると、Hippoキナーゼカスケードが開始され、それが転写コアクチベーターであるYAP(YES-associated protein)のリン酸化、細胞質内保留および機能的不活性化につながることにより転移が抑制される。逆に、非転移性の乳がん細胞でLIFRが失われると、YAPの活性化を介して遊走、浸潤および転移性コロニー形成が誘導される。LIFRはヒト乳がんでは下方制御されており、転移と逆相関の関係にある。約1,000例の非転移性乳房腫瘍で、LIFRの発現状態と、患者の無転移生存期間、無再発生存期間、全生存期間との間に相関が認められたことは注目すべきである。これらの知見は、LIFRがHippo-YAP経路を介して機能する転移抑制因子であり、有意な予後予測能を持つことを明らかにしている。

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