Technical Report

画像化法:89Zr-トランスフェリン画像化法を用いた、MYC活性状態の注釈付け

Nature Medicine 18, 10 doi: 10.1038/nm.2935

発がんシグナル伝達経路の活性を非侵襲的に定量する技術は、がんの診断や標的療法を用いるがん治療に幅広く影響すると考えられる。本論文では、トランスフェリン受容体1(TFRC、別名CD71)に高いアビディティーで結合する新規の陽電子放射断層撮影法(PET)放射性トレーサーとして、89Zr-デスフェリオキサミンで標識したトランスフェリン(89Zr-トランスフェリン)を開発したことを報告する。89Zr-トランスフェリンを用いることで、高コントラストのPET画像が得られるようになり、MYC駆動型前立腺がんの異種移植モデルでは、MYCに調節されるTFRC発現に治療によって生じた変化が定量的に反映された画像が得られた。さらに、89Zr-トランスフェリン画像化法は、トランスジェニックMYC前立腺がんモデルでの前立腺がん発生をin situで検出でき、また前立腺上皮内腫瘍では浸潤がんの組織学的および解剖学的な証拠が得られるより前にがん発生を検出できた。これらの前臨床データによって、89Zr-トランスフェリンは、前立腺、またおそらくはその他のがんで、がん遺伝子駆動型TFRC発現を非侵襲的に測定する高感度のツールとなることが確認され、近い将来の臨床への適用が期待される。

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