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感染症:マラリアはヘムおよびヘムオキシゲナーゼに依存して機能異常顆粒球を動員することで
サルモネラ抵抗性を低下させる

Nature Medicine 18, 1 doi: 10.1038/nm.2601

サハラ以南のアフリカでは、侵襲性の非チフス性サルモネラ(NTS)感染は熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)感染の合併症としてよく見られ、しばしば致死的である。ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の誘導は、マラリアで起こる赤血球溶血の際のヘムの細胞傷害作用に対する耐性をもたらすが、その一方で殺菌性の活性酸素種の産生制限によりNTSに対する抵抗性を低下させる可能性がある。本論文では、マウスにネズミマラリア
原虫(Plasmodium yoelii 17XNL:Py17XNL)
とネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar 
Typhimurium 12023 [Salmonella typhimurium])
を同時に感染させると、急性で細菌負荷が高く致死的な菌血症が引き起こされ、これらの特徴はフェニルヒドラジン誘発性溶血あるいはヘミン投与でも再現されることを示す。ネズミチフス菌は、主に顆粒球に局在していた。Py17XNL、フェニルヒドラジンおよびヘミンは、酸化バースト量が不十分な未成熟顆粒球の骨髄からの動員を引き起こした。錫プロトポルフィリンによってHOを阻害すると、溶血によるネズミチフス菌抵抗性低下が阻止された。したがって、マラリア感染に対する耐性機序の1つが、別の感染症であるNTS感染に対する耐性を損なっていることになる。また、HO阻害薬は溶血が起こっている際のNTSに対する補助的療法として有用となるかもしれない。

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