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ワクチン:アラムと樹状細胞膜脂質との相互作用は
アジュバント活性に不可欠である

Nature Medicine 17, 4 doi: 10.1038/nm.2306

アラム(Alum)は、ヒトでの使用が承認されているワクチン・アジュバントとして健康に大きな関わりがあるが、結晶であることから、その作用機序に関しては問題が残っている。さらに、その標的細胞、受容体、およびアラムがかかわるシグナル伝達経路についてはほとんど知られていない。今回我々は、アラムがインフラマソームや膜タンパク質には依存せずに、樹状細胞(DC)の細胞膜脂質にかなりの強さで結合することを報告する。結合に続く脂質の選別が、途中で停止する限定的な貪食応答を活性化し、これが抗原の取り込みをもたらす。このような活性化DCは、アラムとそれ以上会合しなくても、接着分子ICAM-1 (intercellular adhesion molecule-1)およびLFA-1(lymphocyte function-associated antigen-1)を介してCD4+ T細胞と高親和性で安定な結合を形成する。我々はアラムが膜脂質の構造変化によってDCの応答を誘導すると考える。したがってこの研究は、アラムという結晶性構造が免疫系と相互作用する予想外の仕組み、またDCの細胞膜が固体構造に対する一般的なセンサーとして機能する仕組みを示唆している。

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