Technical Report

画像化技術:脳内深部領域での疾患進行の蛍光内視顕微鏡による微速度撮影画像化

Nature Medicine 17, 2 doi: 10.1038/nm.2292

生体内顕微鏡観察と疾患の動物モデルとの組み合わせは、疾患の発症機構や治療法の研究を大きく進展させてきた。しかし、多くの疾患は光学顕微鏡では観察できない生体内組織で起こっている。今回我々は、一光子または二光子蛍光顕微鏡法により、生きている哺乳類の脳内深部で複数週にわたって行う細胞レベルの微速度撮影について報告する。左右両側に撮像部位を確保することで、正常組織と病変組織の比較など個体内での縦断的比較解析が可能となった。この手法を用いて、成体マウスでCA1海馬錐体ニューロンの樹状突起を追跡撮影し、これらの樹状突起の並外れた安定性や、構造的変化の稀少な例を明らかにした。また、疾患研究の例として腫瘍成長を観察し、三次元脈管構造を可視化し、微小循環の速度を測定することで、脳内深部にある神経膠腫を追跡した。膠腫が進行するにつれて、毛細血管の直径がかなり増したにもかかわらず、神経膠腫での赤血球の平均移動速度は顕著に減少した。微速度内視顕微鏡法は、神経血管疾患、神経疾患、がんや外傷で引き起こされる諸病態など、さまざまな疾患の研究に適用できるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度