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免疫:NF-κB1は樹状細胞の機能的成熟を制御し、自己反応性T細胞の活性化を防止する

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2556

成熟した樹状細胞(DC)は適応免疫応答の誘導にきわめて重要であり、またDCの恒常性が乱されると自己免疫疾患が生じることがある。DC増殖の脱調節、あるいはDCの生存延長はいずれも、マウスモデルで多様な自己免疫疾患を引き起こすことがある。また、細胞表面に存在するToll様受容体(TLR)の過剰発現もしくはI型インターフェロン(IFN)による刺激を介した成熟シグナルの増加は、全身的自己免疫疾患と関連づけられている。最近の研究は、成熟過程の開始に必要な因子の同定が中心となっているのに対して、休止期のDCも自身を未成熟状態に「維持する」分子を発現しているという可能性は概して考慮されていない。今回我々は、NF-κB1がDCの休止状態維持にきわめて重要であることを示す。自己抗原をパルスした無刺激DC でNF-κB1を発現しないものは、CD8+ Tリンパ球を活性化し、自己免疫を誘導することができた。さらに、NF-κB1が腫瘍壊死因子α(TNF-α)の自発的産生を負に調節し、それが細胞傷害性Tリンパ球でのグランザイムB発現増加と関連することを示す。これらの知見から、機能を備えた樹状細胞の成熟に関する新たな見方と、また病因性T細胞活性化を説明できる可能性のある機序候補が得られる。

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