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関節炎:変形性関節症における補体の重要な役割の確認

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2543

滑膜性関節での関節軟骨の破壊を特徴とする変形性関節症は、長い間「摩耗」の結果であると見なされてきた。変形性関節症では軽度の炎症が見られるが、その役割はわかっていない。今回我々は、変形性関節症の病因に炎症性補体系が重要な役割をもつことを突き止めた。変形性関節症患者の滑液および滑膜のプロテオームおよびトランスクリプトーム解析から、変形性関節症患者の関節では補体の発現と活性化が異例の高さであることが見いだされた。補体成分5(C5)、C6もしくは補体調節タンパク質CD59aを遺伝的に欠失するマウスを用いて、補体、特に膜侵襲複合体(MAC)を介した補体の攻撃が、変形性関節症の3種のマウスモデルで関節炎の発症にきわめて重要であることがわかった。野生型マウスでの補体の薬理学的修飾によって、遺伝的補体欠失マウスで得られた結果が確認された。不安定化した関節の軟骨細胞での炎症性および分解性分子の発現は、C5が十分に存在するマウスよりもC5を欠失するマウスの方が低く、またMACは培養軟骨細胞でこれらの分子の産生を誘導した。さらに、MACは、変形性関節症患者の軟骨組織中の軟骨細胞周辺でマトリックスメタロプロテアーゼ13およびERK(extracellular signal-regulated kinase)と共局在していた。今回の知見は、滑膜性関節での補体の調節異常が変形性関節症の病因に重要な役割を担っていることを示している。

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