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がん:有糸分裂と腫瘍プログレッションにおけるCRAFのMEK非依存的な役割

Nature Medicine 17, 12 doi: 10.1038/nm.2464

RAFキナーゼは細胞の増殖と生存を調節しており、腫瘍ではRAFキナーゼの調節異常が起こっていることがある。RAFの細胞増殖における役割は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ1(MEK)とマイトジェン活性化プロテインキナーゼ1(ERK)を活性化するその機能に関連づけられてきた。今回我々は、RAFが腫瘍増殖にMEK非依存性の役割をもつことを突き止めた。分裂中の細胞のCRAFはSer338がリン酸化されて、増殖中のin vitro腫瘍細胞、マウスの腫瘍モデル、がん患者の生検標品では有糸分裂紡錘体に局在している。腫瘍細胞をアロステリック阻害剤で処理すると、CRAFのSer338リン酸化および有糸分裂紡錘体への局在が阻止され、前中期で細胞周期の停止が起こるが、ATP競合性RAF阻害剤ではこういう現象は見られない。さらに、Ser338がリン酸化されたCRAFは腫瘍プログレッションのバイオマーカー、またアロステリックRAF遮断の代用マーカーになる可能性があることを明らかにする。機構的には、CRAFはBRAFとは異なり、G2/M期には中心体と紡錘体極でオーロラキナーゼAおよびポロ様キナーゼ1(Plk1)に結合している。実際、Ser338リン酸化CRAFのアロステリック阻害あるいは遺伝的阻害は、Plk1の活性化と動原体への集積を障害し、その結果細胞周期の前中期での停止をきたすが、Ser338Dリン酸化模倣CRAF変異体はPlk1活性化、有糸分裂やマウスでの腫瘍プログレッションを促進する。これらの知見は、RAFがRAF-MEK-ERKという枠組みを超えて腫瘍プログレッションに果たすこれまで知られていなかった役割を明らかにしており、がんでのRAF標的化に新しい道を開く。

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