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疼痛:GAD65発現のエピジェネティックな抑制は持続性疼痛にかかわっている

Nature Medicine 17, 11 doi: 10.1038/nm.2442

慢性疼痛はよく見られる神経疾患で、遺伝子修飾からシナプス機能障害や情緒障害にまでわたる、持続的かつ多面的な不適応がからんでいる。多くの疾患で、持続的な病的刺激はエピジェネティックな修飾を介して特定の遺伝子の発現活性を変化させるが、慢性疼痛の発生にエピジェネティックな機序がどのように働いているのかは明らかでない。今回我々は、慢性疼痛の中心的機序に重要なラット脳幹大縫線核で、持続性の炎症性疼痛および神経因性疼痛が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を介するヒストン低アセチル化によってGad2〔グルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD65)をコードする〕の転写をエピジェネティックに抑制し、その結果としてγ-アミノ酪酸(GABA)シナプス抑制が障害されることを示す。Gad2ノックアウトマウスは、疼痛行動の感受性が増大し、脳幹ニューロンにおけるGABAシナプスの機能が障害された。野生型マウスでは、HDAC阻害剤によってGAD65活性が顕著に亢進し、GABAシナプスの機能が回復して疼痛行動の感受性増強が軽減されたが、Gad2ノックアウトマウスでは、こうした影響は認められなかった。以上の知見は、慢性疼痛治療へのエピジェネティックな対処ではGAD65およびHDACが治療標的となる可能性を示唆している。

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