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高血圧症:カルシニューリン阻害剤タクロリムスは
腎臓のナトリウム塩素イオン共輸送体を
活性化し高血圧を引き起こす

Nature Medicine 17, 10 doi: 10.1038/nm.2497

カルシニューリン阻害物質(CNI)は免疫抑制剤で、移植臓器の拒絶防止や自己免疫疾患の治療に広く使われている。この種の薬剤の使用は、高血圧や腎尿細管機能不全(高カリウム血症、高カルシウム尿症やアシドーシスなど)を併発することが多い。このような副作用は、腎臓のナトリウム塩素イオン共輸送体(NCC)の過活動を特徴とし、WNKキナーゼ群をコードする遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝学的疾患である家族性高カリウム血症性高血圧に類似している。我々は、CNIがNCCを刺激することで高血圧を引き起こすのではないかと考えた。野生型マウスでは、CNIであるタクロリムスは、食塩感受性高血圧を引き起こし、また、リン酸化NCC量、NCCを調節するキナーゼであるWNK3、WNK4およびSPAKの量を増加させた。この応答にNCCの機能が重要であることは、NCCノックアウトマウスではタクロリムスは血圧に影響しないが、NCCを過剰発現するマウスではタクロリムスに対する高血圧応答が非常に大きくなることによって実証された。さらに、NCC遮断薬であるヒドロクロロチアジドは、タクロリムスが誘発する高血圧を回復させた。タクロリムスを投与されている腎移植レシピエントは、タクロリムスが投与されていないレシピエントよりも、別のNCC遮断薬であるベンドロフルメチアジドに応じて起こる塩素イオン排泄率が高く、腎臓のNCC存在量も多いことが明らかになり、これらの知見がヒトでも見られることがわかった。まとめるとこれらの結果は、タクロリムス誘発性の慢性高血圧は主にNCC活性化によって仲介されることを示しており、また、低価格で忍容性が良好なチアジド系利尿薬はCNI投与による併発症の予防に特に有効である可能性を示唆している。

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