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腎疾患:上皮増殖因子受容体は急速進行性半月体形成性糸球体腎炎における糸球体損傷および腎不全を促進する

Nature Medicine 17, 10 doi: 10.1038/nm.2491

急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は生命を脅かす臨床症候群であり、形態的には重度の糸球体損傷として認められ、その特徴はT細胞とマクロファージの集積および内在性糸球体細胞の増殖を伴う増殖性の組織形態(半月体)である。我々は、RPGNを有するマウスおよびヒト患者の両方で、内在性の糸球体上皮細胞(足細胞)でヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB-EGF)のde novo誘導が起こることを示す。HB-EGFの誘導は、RPGNを有するマウスで上皮増殖因子受容体(EGFR、別名ErbB1)のリン酸化を促進する。HB-EGF欠損マウスでは、糸球体でのEGFR活性化は認められず、RPGNの経過が改善される。in vitroでは、自己分泌型のHB-EGFは足細胞の表現型切り替えを誘発する。マウス足細胞でのEgfr遺伝子の条件的欠失は、RPGNの重症度を軽減する。同様に、EGFRの薬理学的遮断は、実験的RPGN誘発後4日目からの投与でも、RPGNの経過を改善する。今回の結果は、HB-EGF–EGFR経路を標的とすることは、ヒトRPGNの治療でも効果が認められる可能性を示唆している。

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