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がん:HSP110変異体の発現は大腸直腸がんを化学療法感受性とし予後を改善する

Nature Medicine 17, 10 doi: 10.1038/nm.2457

熱ショックタンパク質(HSP)はがん細胞の生存に必要である。我々はマイクロサテライト不安定性を示す大腸直腸がん(MSI CRC)で、異常なスプライシングを受けたmRNAから生じ、HSP110基質結合ドメインを欠くHSP110変異体(HSP110ΔE9)を同定した。この変異体は、MSI CRCのほとんどすべての細胞系統や原発がんでさまざまな程度発現していた。HSP110ΔE9は、細胞内でHSP110の本来あるべき場所に局在することができず、また他のHSPとの相互作用も障害されており、そのためHSP110のシャペロン機能や抗アポトーシス機能が優性ネガティブに消失する。HSP110ΔE9の過剰発現によって、細胞はオキサリプラチンや5-フルオロウラシルなどの、CRC患者に補助治療薬としてごく普通に処方される抗がん剤に対する感受性が増大する。MSI CRC患者の生存率ならびに化学療法応答性は、腫瘍のHSP110ΔE9発現レベルと相関していた。したがって、HSP110はCRCの予後および治療応答性の両方に対する主要な決定因子の1つなのかもしれない。

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