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てんかん:原発性脳腫瘍からのグルタミン酸放出はてんかん性活動を誘発する

Nature Medicine 17, 10 doi: 10.1038/nm.2453

てんかん発作は原発性脳腫瘍患者に広く見られる共存症だが、その解明は進んでいない。我々は重度複合免疫不全マウスにヒト由来のグリオーマ細胞を移植し、腫瘍周囲に生じるてんかん発作の病因について検討した。グリオーマを移植されたマウスでは、14から18日以内に進行性てんかん性活動と一致する自発性で反復性の脳波異常事象が発生した。このようなマウスから得た急性脳切片では、シスチン-グルタミン酸輸送体のシステムxcSlc7a11によってコードされる)を介する、腫瘍からの顕著なグルタミン酸放出が見られた。生物物理学的および光学的記録から、隣接する脳組織へと広がるグルタミン酸作動性てんかん様過興奮が明らかになった。システムxcを遮断する薬剤として米国食品医薬品局から承認されているスルファサラジン(SAS)を用いて、腫瘍からのグルタミン酸放出とそれに続いて生じる過興奮を阻害した。その結果、ヒトのクローン病治療に使われるのと等しい濃度のSASの担がんマウスへの急性投与は、非投与の対照群に比べるとてんかん事象頻度を低下させることが明らかになった。SASは、ヒトのグリオーマに併発する腫瘍周囲のてんかん発作軽減のための補助治療薬として考慮すべきであろう。

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