Letter

ウイルス:GD1a中のグリカンは流行性角結膜炎を引き起こすアデノウイルスの細胞側受容体である

Nature Medicine 17, 1 doi: 10.1038/nm.2267

アデノウイルス37型(Ad37)は、重篤で感染性の高い眼疾患である流行性角結膜炎(EKC)の主要な原因である。他のほとんどのアデノウイルスがCD46あるいはコクサッキー・アデノウイルス受容体(CAR)への結合によって細胞に感染するのに対し、Ad37は以前には知られていなかったシアル酸含有細胞表面分子に結合する。我々は、グリカンアレイを用いたスクリーニングを行って、Ad37ファイバータンパク質の受容体認識ノブドメインが、分岐型六糖に特異的に結合することを明らかにした。この六糖はガングリオシドであるGD1a中に存在し、末端に2つのシアル酸をもつことを特徴とする。可溶性のGD1aグリカンとGD1a結合抗体は、Ad37ビリオンの角膜細胞への結合と感染を効率よく防止した。結合実験、感染実験およびフローサイトメトリーによって示されたように、この受容体はガングリオシド自体ではなく、GD1aグリカンモチーフを含む1個以上の糖タンパク質によって構成されており、これは予想外の結果である。末端の2つのシアル酸は、三量体であるAd37ノブ中のこれまでに3個が確認されているシアル酸結合部位のうちの2つに結合することが、分子モデリング、核磁気共鳴、およびX線結晶解析から明らかになった。表面プラズモン共鳴分析から、ノブとGD1aグリカンの相互作用は高親和性であることが示された。したがって、我々の知見は、EKCの局所的治療のためのシアル酸含有抗ウイルス剤を設計・開発する基盤となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度