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COMMUNITY CORNER: レプチンによる1型糖尿病治療への取っかかり

Nature Medicine 16, 4 doi: 10.1038/nm0410-380

マウスでの新しい研究によって、1型糖尿病の新しい治療法への道が開けるかもしれない。1型糖尿病患者では膵臓のインスリン産生細胞が破壊されるので、通常はインスリン注射で血糖値を正常に保つ。しかし、この治療法だと脂肪が蓄積するなどの望ましくない副作用がみられることがあり、それが心疾患や肥満につながる。M-y Wangたちは1型糖尿病のマウスモデルを用いて、また別のホルモンであるレプチンを治療に使った場合の効果を調べた。レプチンは脂肪細胞から分泌され、エネルギー消費量や脂肪代謝を調節することが知られている。このマウスモデルでは、レプチンは血糖値をインスリンと同程度に安定化し、レプチンとインスリンとの併用では、さらに安定な、長期にわたる血糖値制御が可能になった。従来の研究成果とも整合するこれらの知見は、レプチンのグルコース代謝への関与を裏付けている。この研究ではさらに、レプチンは脂質代謝やコレステロール代謝に対しても、インスリンより良好な作用を示すことが明らかにされた。レプチンを使うこの方法の作用機序はどのようなものなのだろう。また、この方法はヒトで試験する段階に至っているのだろうか。

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