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骨疾患:インターフェロン調節因子8は破骨細胞形成を抑制することにより骨代謝を制御する

Nature Medicine 15, 9 doi: 10.1038/nm.2007

骨代謝は、破骨細胞が遂行する骨吸収と骨芽細胞が誘導する骨形成のバランスのもとで営まれており、歯周炎や関節リウマチなどの疾患は、破骨細胞の増加による骨破壊の促進を特徴とする。今回我々は、免疫細胞に発現する転写因子のインターフェロン調節因子8(IRF-8)が、破骨細胞形成の重要な調節分子であることを報告する。破骨細胞前駆細胞におけるIRF-8の発現は、Tnfsf11遺伝子にコードされているRANKL(receptor activator of nuclear factor κB ligand)が誘導する破骨細胞分化過程の初期に減少した。Irf8欠損マウスでは、破骨細胞数の増加による重度の骨粗鬆症がみられ、またリポ多糖(LPS)投与による骨破壊の促進がみられた。Irf8-/-マウスより調製した破骨細胞前駆細胞は、RANKLおよび腫瘍壊死因子α(TNF-α)によって誘導される破骨細胞形成の促進を示した。IRF-8は、NFATc1(nuclear factor of activated T cells c1)の機能と発現の阻害により、破骨細胞形成を抑制した。以上の結果は、IRF-8が生理的ならびに病的状態で破骨細胞形成を抑制することを示し、IRF-8などの抑制因子の発現減少がRANKLによる破骨細胞形成を助けるというモデルを示唆している。

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