Letter

脳梗塞:脳インターロイキン-17産生γδT細胞の虚血性脳損傷遅延相における中心的役割

Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.1999

リンパ球の動員と活性化は、脳梗塞モデルである脳虚血-再還流(I/R)障害の進展にかかわると考えられているが、脳梗塞に関与する特定のリンパ球亜集団とサイトカインは未同定のままである。今回我々は、T細胞の脳浸潤とサイトカインの一種であるインターロイキン23(IL-23)とIL-17が、脳梗塞とこれに伴う神経細胞障害の進展で重要な役割をもつことを明らかにした。免疫抑制剤FTY720でT細胞の脳浸潤を阻止すると、I/R誘発性脳損傷が軽減した。主として浸潤マクロファージに由来するIL-23の発現はI/R後1日目で、主としてT細胞に由来するIL-17の発現は3日目で上昇し、このIL-17誘導はIL-23に依存していた。これらの結果と、IL-17欠損マウスおよびIL-23欠損マウスの解析結果とを合わせると、IL-23はI/R脳損傷直後に機能するが、IL-17はその後の遅延相で機能し、損傷周辺部で神経細胞のアポトーシスが起こる時期に重要な役割を果たすことが示唆される。細胞内サイトカイン染色では、CD4+ヘルパーT細胞でなく、γδTリンパ球がIL-17の主要な供給源であることがわかった。さらに、γδTリンパ球の除去はI/R損傷を改善した。γδTリンパ球を含むTリンパ球が、脳虚血の初期障害を増幅する炎症過程に主要な役割を果たすことから、我々はこれらの細胞が、脳梗塞の障害を軽減するための治療標的となる可能性があると考える。

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