Perspective

HIV:HIV-1自然感染の間に生成された中和抗体:HIV-1ワクチンによいニュースとなるか

Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.1949

既存のウイルスワクチンのほとんどは、初期感染を阻止するか、もしくは病気を引き起こす前にウイルスを根絶するのを助ける抗体を産生する。HIV-1の場合、防御的中和抗体(NAb)誘導に対する障害は克服不可能のように見えることがしばしばだった。HIV特異的NAbの標的であるウイルスエンベロープ糖タンパク質(Env)は、アミノ酸配列やグリコシル化パターンが非常に変化しやすい。HIV-1 Envの保存されている部分は免疫原性が弱いらしく、またワクチン接種によって広範に応答するNAbを生成させる以前の試みは効果がないことが証明されている。しかし最近の研究により、一部のHIV-1感染患者の血清中の抗体が、多様なHIV-1単離株を中和できることが明らかにされている。このような血清の詳細な解析は、広範な反応性をもつNAbの標的となるウイルスエピトープに対する新たな手がかりをもたらす。本論文で論じられている知見は、自然発生したNAbのHIV-1に対する反応から将来のワクチン設計に必要な情報が得られることを示唆している。構造に基づくワクチン設計の努力を重ねることは、抗体に基づく改良型HIV-1ワクチン開発を進める助けとなろう。

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