Article

骨粗鬆症:骨芽細胞性骨形成のNF-κBによる阻害

Nature Medicine 15, 6 doi: 10.1038/nm.1954

骨吸収に対して釣り合いのとれた骨形成が行われないと、骨粗鬆症や炎症性骨疾患でみられる正味の骨量減少が起こる。骨吸収が誘発される機構はよく知られているが、骨形成障害をもたらす分子機構はよくわかっていない。本論文では、若齢マウスの分化した骨芽細胞で内在性のIKK(inhibitor of κ B kinase)—NF-κB(nuclear factor-κB)を時間特異的、段階特異的に阻害すると、破骨細胞の活性には影響がないが、海綿骨量と骨密度がかなり増加することを示す。さらに成体マウスでは、分化した骨芽細胞でIKK—NF-κBを阻害すると骨形成が維持され、これによって卵巣摘出により誘導される骨粗鬆症性の骨量減少が防止される。IKK—NF-κBの阻害は、骨基質形成に必須の転写因子であるFos関連抗原1(Fra-1)の発現をin vitroおよびin vivoで増大させる。総合すると、今回の結果はIKK—NF-κBを標的とすることが、骨粗鬆症などの骨疾患の治療における骨形成促進に役立つ可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度