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高血圧:マクロファージは血管内皮細胞増殖因子Cに依存する緩衝機構により食塩依存性容積と血圧を制御している

Nature Medicine 15, 5 doi: 10.1038/nm.1960

食塩感受性高血圧では、組織でのNa+蓄積にともなって、体液の等張性を維持するのにつり合った水分保持が起こると考えられている。本論文では、ラットでは高塩分食(HSD)によって皮膚間隙に高張性Na+蓄積が起こり、毛細リンパ管ネットワークの密度の増加と過形成がもたらされることを示す。リンパ系に対するこのような作用の基盤となる機構には、皮膚間隙に浸潤する単核食細胞系(MPS)細胞の浸透圧応答配列結合タンパク質(TonEBP)の活性化がかかわっている。TonEBPは血管内皮細胞増殖因子C(VEGF-C)をコードする遺伝子Vegfcのプロモーターに結合し、マクロファージによるVEGF-Cの分泌を引き起こす。MPS細胞の激減あるいは可溶性VEGF受容体3によるVEGF-Cの捕捉は、VEGF-Cシグナル伝達を遮断し、間隙の高張性容積維持を増強し、内皮型一酸化窒素合成酵素の発現を減少させ、HSDに応答して血圧を上昇させる。今回の結果は、MPS細胞でのTonEBP-VEGF-Cシグナル伝達が細胞外容積と血圧の恒常性の主要な決定因子であることを示し、VEGFCが浸透圧感受性で高浸透圧によって発現される遺伝子で、食塩感受性高血圧と密接に関連していることを明らかにしている。

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