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血管新生:ヒストンH2AXは低酸素が惹起する血管新生に不可欠である

Nature Medicine 15, 5 doi: 10.1038/nm.1947

H2AヒストンファミリーのメンバーX(H2AX、H2AFX遺伝子にコードされる)およびそのC末端リン酸化型(γ-H2AX)は、DNA損傷応答に関与してDNA修復を仲介する。低酸素は複製時のDNA損傷応答を誘発する生理的ストレスである。さらに、低酸素による血管増殖因子の誘導は内皮細胞増殖を引き起こすことから、低酸素は血管新生の大きな推進力となる。今回我々は、低酸素が誘発するDNA損傷応答の、内皮細胞機能およびin vivoでの低酸素による血管新生における役割について検討した。in vitroの内皮細胞ならびにマウスで、低酸素は複製にともなうγ-H2AXの生成を誘導した。培養細胞およびマウス生体の両方で、H2AXの欠損により低酸素下での内皮細胞増殖が低下した。H2afx-/-マウスは、発生過程での血管新生には影響が認められないが、病的増殖性網膜症の場合や後肢虚血に対する応答時、または腫瘍血管新生時の低酸素誘発性血管新生が大幅に減少した。さらに、内皮特異的なH2afx欠失では、低酸素による網膜血管新生および腫瘍血管新生が減少した。これらの知見は、H2AXおよびそれによるDNA修復応答の活性化は、低酸素条件下での内皮細胞増殖の維持に必要であり、低酸素が惹起する血管新生にきわめて重要であることを示している。

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