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炎症性疾患:局在化した好中球ミクロドメインによってもたらされる異種性の相互作用は血栓性炎症による損傷を仲介する

Nature Medicine 15, 4 doi: 10.1038/nm.1939

セレクチンとそのリガンドは白血球のローリングを媒介し、ケモカインとの相互作用を可能にして、その結果インテグリンの活性化と白血球の移動停止が起こる。今回我々は、E-セレクチンリガンド1によって特異的に変換される活性化シグナル伝達の第2波の発生にE-セレクチンが重要であることを示す。活性化シグナルの第2波は、移動中の好中球の先導端に局在する活性化αM β2インテグリンクラスターを誘導し、これにより循環中の赤血球あるいは血小板の捕捉が可能となる。鎌状赤血球症のヒト化マウスモデルでは、αMβ2ミクロドメインによる赤血球の捕捉は、致死的な急性血管閉塞をもたらす。輸血関連急性肺損傷のマウスモデルでは、インテグリンクラスターが局在する好中球が循環中の血小板を捕捉して酸化力の高い分子種を発生させ、血管損傷や肺損傷を引き起こす。E-セレクチンあるいはαMβ2の不活性化は、この両方の炎症モデルで組織損傷を防止するので、この現象は血栓性炎症疾患に広く関係すると考えられる。以上の結果は、内皮セレクチンが、遅延して局在的に起こる器官傷害性の活性化を介して、一般に知られているローリング段階以外の好中球のふるまいにも影響を与えている可能性を示している。

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