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免疫:樹状細胞でのToll様受容体2に依存したビタミンA代謝酵素の誘導は調節性T細胞の応答を促進し、自己免疫を抑制する

Nature Medicine 15, 4 doi: 10.1038/nm.1925

免疫系による微生物の感知は多数の受容体を介して行われる。さまざまな受容体からのシグナルが調整されて、特異的な免疫応答を引き起こす仕組はほとんどわかっていない。我々は、同じ微生物刺激を認識する病原体認識受容体であるToll様受容体2(TLR2)とデクチン1が、それぞれ異なる自然免疫応答および適応免疫応答を促進することを示す。脾臓の樹状細胞(DC)で、TLR2シグナル伝達はレチノイン酸代謝酵素である2型レチンアルデヒド脱水素酵素とインターロイキン10(IL-10)の発現とビタミンA代謝を誘導し、Foxp3+調節性T細胞(Treg細胞)を刺激した。レチノイン酸はDCに作用し、サイトカインシグナル抑制因子3の発現を誘導した。これによって、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ活性化と炎症性サイトカイン産生が抑制された。TLR2シグナル伝達がin vivoでTreg細胞を誘導し、IL-23および17型ヘルパーT(TH17)細胞やTH1細胞を介する自己免疫応答を抑制したことは、この知見と一致する。これとは対照的に、デクチン1シグナル伝達はin vivoで、主にIL-23および炎症促進性サイトカインを誘導し、TH17細胞やTH1細胞を介する自己免疫応答を増強した。これらの知見は、レチノイン酸の全身性の誘導と自己免疫に対する免疫抑制の新しい機構を明らかにしている。

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