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心疾患:ネキシリンの変異は心臓のZディスクを不安定化し拡張型心筋症を引き起こす

Nature Medicine 15, 11 doi: 10.1038/nm.2037

心筋細胞や骨格筋細胞の力学的統合部位であるZディスクは、筋原繊維の結合を力の受容と処理に結びつける。筋収縮の間、Zディスクが極めて大きな機械力に持続的に耐えることを可能にする重要な分子はまだ同定されていない。今回我々は、新たなZディスクタンパク質として、NEXNにコードされるネキシリン(nexilin)を分離した。ゼブラフィッシュでのネキシリンの欠損は、Zディスクの安定性を乱し、心不全をもたらした。ヒトの心不全におけるネキシリンの役割を検討するために、拡張型心筋症患者で遺伝的関連解析を行い、NEXNの複数の変異が疾患と関連することを見いだした。ネキシリン変異の保有者では、ネキシリンを欠くゼブラフィッシュで観察されたのと似た心臓のZディスク病態がみられた。ゼブラフィッシュで、NEXN変異体対立遺伝子にコードされるネキシリンタンパク質を発現させると、Zディスクの障害と心不全が誘導され、優性ネガティブ効果が実証され、こうした変異が疾病を引き起こすことが確認された。ネキシリンを欠く骨格筋で機械的張力を増大させるとZディスクの損傷が悪化することから、ネキシリンはZディスクを機械的外傷から保護する独自の役割をもつと考えられる。

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