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肥満:肥満感受性遺伝子Cpeは視床下部のプロオピオメラノコルチン・ニューロンにおけるFoxO1シグナル伝達と食物摂取調節を結びつける

Nature Medicine 15, 10 doi: 10.1038/nm.2026

食物摂取が減少すると、エネルギー消費はそれに適応して低下するようになり、これは減量後の肥満再発の一因となる。インスリンとレプチンは、中枢神経系での作用によって食物摂取を抑制するが、その一部は転写因子FoxO1を介して起こる。本論文では、プロオピオメラノコルチン(Pomc)を発現するニューロンのFoxO1を除去したマウス(Pomc-Foxo1−/−マウス)では、カルボキシペプチダーゼE(Cpe)発現が増加し、その結果α-メラノサイト刺激ホルモン(α-Msh)やカルボキシ末端が切断されたβ-エンドルフィンの選択的な増加が引き起こされることを示す。これらは、PomcのCpe依存的プロセシングの産物である。この神経ペプチドプロファイルは、Pomc-Foxo1−/−マウスでの食物摂取減少および正常なエネルギー消費と関連している。食餌誘発性の肥満によってCpe発現は低下し、FoxO1欠失はこの低下を相殺して体重増加が防がれることがわかった。また、弓状核でCpeを中程度に過剰発現させると、FoxO1変異の特徴の表現型模写がみられる。Pomc-Foxo1−/−マウスでみられる食物摂取とエネルギー消費の切り離しは、肥満での治療的介入のモデルを表しており、Cpeを標的とする減量薬開発の可能性が考えられる。

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