Review

神経:神経疾患におけるシナプス回路の遮断器としての内在性カンナビノイドシグナル伝達

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.f.1869

大麻(Cannabis sativa)は医学史にみられる薬草の中でもっとも古いものの1つであり、疼痛から癲癇に到るさまざまな疾患の治療に使われてきたが、精神作用性があるために最近の医療現場では使用頻度が減少している。しかし、大麻に含まれる化合物の類似物質がヒト体内でシグナル伝達経路を介して作用しているという重要な発見によって、新たな関心が高まりつつある。本総説では、内在性カンナビノイドシグナル伝達が中枢神経系全般にわたってシナプス情報伝達の調節にきわめて重要な働きをしていることを明らかにした最近の進展について論じる。その基盤となる分子構成は脊髄から新皮質までのシナプスで高度に保存されており、負のフィードバック信号として、過剰なシナプス前活動に対する保護作用をもたらす。内在性カンナビノイドシグナル伝達装置は、必要に応じてシナプス特異的に作動する。したがって、この伝達装置の修飾は、いくつかの神経疾患でみられる有害な神経活動を選択的に調節するための新たな治療法となると考えられる。

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