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骨疾患:脳型クレアチンキナーゼは破骨細胞による骨吸収にきわめて重要な役割を果たす

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.1860

破骨細胞は、単球-マクロファージ系統の前駆細胞から分化した後、活性化されて骨吸収能を獲得する。この活性化は、主としてreceptor activator of nuclea factor-κB ligand(RANKL)およびマクロファージコロニー刺激因子によって制御される。破骨細胞形成の後期に発現が著しく増加し、破骨細胞機能を支持する役割をもつと思われるタンパク質は、骨リモデリング障害に対する治療標的の候補となる。本研究では、プロテオミクスの手法を用いて脳型細胞質クレアチンキナーゼ(Ckb)発現量が破骨細胞形成中に著しく増加することを示す。RNA干渉によるCkb発現量の減少や、阻害薬シクロクレアチンによるCkb酵素活性の阻害によって、in vitroで形成した破骨細胞の骨吸収活性は抑制されるが、これはアクチンリング形成、RhoA GTPアーゼ活性、液胞型ATPアーゼ機能に対する影響の組み合わせにより起こる。同様にCkb-/-マウスに由来する破骨細胞においても骨吸収活性の低下がみられた。In vivoでは、卵巣摘出、リポ多糖曝露、あるいはインターロイキン1投与により誘導される骨量低下に対し、Ckb-/-マウスは野生型マウスよりも抵抗性が高かった。さらに、シクロクレアチン、あるいはCkbの低分子ヘアピン型RNAを発現するアデノウイルスの投与によって、ラットやマウスのモデルで骨吸収の低下がみられた。以上の結果は、破骨細胞の骨吸収機能におけるCkbの重要な役割を明らかにし、骨吸収抑制薬開発の新たな分子標的としてのCkbの可能性を裏付けるものである。

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