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骨粗鬆症:Notchシグナル伝達は骨芽細胞の分化抑制により骨髄間葉系前駆細胞を維持する

Nature Medicine 14, 3 doi: 10.1038/nm1716

出生後の骨髄には骨芽細胞の前駆細胞である間葉系前駆細胞が存在する。これらが治療に使えることは立証されているが、こうした細胞のin vitroでの維持、増殖は困難であり、これはおそらくこれらの細胞の運命決定調節機構がほとんど解明されていないためと考えられる。骨芽細胞発生にNotchシグナル伝達が持つと思われる役割を検討するために、我々は条件的対立遺伝子を用いて、骨格の発達段階中にNotchシグナル伝達系因子を遺伝子操作により除去した。四肢の骨格形成性間葉のNotchシグナル伝達を障害すると、思春期マウスの柱状骨量が顕著に増加した。注目すべきことに、高い骨量のマウスの骨髄では、間葉系前駆細胞が検出されなかった。その結果、これらのマウスは加齢に伴って重症の骨減少症を発症した。さらに、Notchシグナル伝達はHesあるいはHeyタンパク質を介して骨芽細胞の分化を抑制しているようであり、これらのタンパク質は物理的結合によりRunx2の転写活性を低下させた。以上の結果は、骨髄でのNotchシグナル伝達は、本来は骨芽細胞の分化抑制により間葉系前駆細胞のプールを維持するというモデルを裏付けている。したがって、間葉系前駆細胞はin vitroでNotchシグナル伝達の活性化により増殖可能と考えられるのに対して、in vivoではこの経路を一過的に抑制することで骨形成が促進される可能性がある。

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