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骨粗鬆症:骨恒常性におけるNotchシグナル伝達の二形的影響

Nature Medicine 14, 3 doi: 10.1038/nm1712

Notchシグナル伝達は胚形成の制御に重要な機構である。しかしながら、間葉系細胞の分化、そして特に骨の恒常性におけるNotchシグナル伝達のin vivoでの機能はほとんど不明のままである。今回我々は、骨芽細胞特異的なNotch機能の獲得により重症の骨硬化症が起こり、その原因は未熟な骨芽細胞の過剰な増殖であることを示す。このような病態下では、NotchはサイクリンD、サイクリンE、およびSp7(別名オステリックス)をコードする遺伝子の発現増大により、早期の骨芽細胞増殖を誘発する。Notch1の細胞内領域はまた、Runx2に直接結合してそのトランス活性化機能を抑制することにより、骨芽細胞分化の最終段階を制御する。これとは対照的に、プレセニリン1とプレセニリン2をコードする遺伝子を骨で欠損させることにより骨芽細胞のすべてのNotchシグナル伝達を消滅させると、遅発性で年齢依存的な骨粗鬆症が発生するが、この現象はこれらの細胞でオステオプロテジェリンのmRNAの発現減少により骨芽細胞依存性の破骨細胞活性が上昇した結果である。総合すると、これらの結果は骨の恒常性にNotchシグナル伝達が二形的な影響をもつ可能性を強調するものであり、新たな治療応用の道が明らかになるかもしれない。

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